「菌ちゃん農法」実践してみる!【移住者がテレワークしながら起農した件#29】

こんにちは!那須に移住して5年目に突入し、農業にチャレンジ中のAOです。
2025年もムクナ豆をメインとして栽培していく方針は変わらないものの、今年は他の野菜も育てていこうと考えています。
理由は2つ。
- 10アール強もある畑のうち、使いきれていない部分も活用したい
- 季節ごとの色んな野菜を作ってみたい

庭の家庭菜園じゃ物足りなくて…
採用するのは、肥料も農薬も使わない「菌ちゃん農法」と呼ばれる栽培方法。
この記事では、慣行農法と菌ちゃん農法の違いや、この農法を選んだ理由などを紹介していきます。
去年、試験的に小さく実践してみた結果も併せてシェアします。
初年度にしては、無肥料とは思えないほど良い野菜が採れましたよー!!
菌ちゃん農法とは?従来の慣行農法や有機栽培との違いは?
菌ちゃん農法は「菌と野菜が共生する生態系」を作り、肥料がなくても必要な栄養を菌が用意する仕組みを活用した農法のこと。
虫や病気に対する野菜自身の免疫力が上がるため、農薬にも頼りません。



野菜だけでなく果樹でも実現可能だそうです
慣行農法との違い
菌ちゃん農法と従来型の慣行農法との違いを改めて比較してみます。
- 慣行農法は化学肥料や農薬を使用し、病害虫対策や生育促進を図る。
- 菌ちゃん農法は肥料も農薬も使わず、畑にいる微生物(菌)を活かして自然と共存する栽培法。



菌の力を借りるので、提唱者さんは親しみを込めて「菌ちゃん」と呼んでるんだって
菌ちゃん農法の強みは、次のような点。
- 土壌本来の力を引き出すため、環境負荷が少ない。
- 化学肥料に頼らないので、連作障害が起きにくい。
- 病害虫に強い野菜が育ちやすい。
- 野菜の栄養価や旨味が高くなる傾向がある。
慣行農法は化学の力を借りることで、大量生産や安定生産を実現しています。
ただ、化学の副作用によるデメリットもある。
環境に負荷をかけたり、食味が落ちたり、とかとか。
昨今の「食の安全」に絡んだ様々な意見と関連して慣行農法のネガティブな点がクローズアップされがちですが、私はこれはこれで人類の叡智が詰まった農法だと考えています。
だって1億3千万人の食を支えてきた農法であることには違いないから!
少なくとも、この農法を編み出した先人の努力と成果には敬意は払うべきだと考えいます。



もちろん肥料や農薬の用法を正しく守って生産されている前提の話だし、時代に合わせてアップデートしていく必要があるとも思ってるけどね!
その上で、私は慣行農法を行いません。
なぜならば、私は大量生産する必要ないから。
農業で生計を立てるプランじゃないから。



自宅で食べる分+αぐらい作れれば十分だからね
大量や安定よりも、野菜の品質の方が大事。
「環境に負荷をかけない持続可能な農法」という特徴も、私が菌ちゃん農法を選ぶ理由の1つです。
素人がわざわざ今から農業を始めるんだから、「”じゃない方”を選べばいいじゃない!」ぐらいの気持ちです。
一般的な有機農法との違い
菌ちゃん農法は、慣行農法に対する有機農法の1つに分類されます。



有機農法の中の自然農法と呼ばれるカテゴリーに含まれるよ
有機農法の一種ではありますが、一般的な有機農法と菌ちゃん農法とでは大きな違いもあります。
- 一般的な有機栽培は有機肥料(堆肥やボカシ肥など)を施すのが基本。
- 菌ちゃん農法は有機肥料を使わず、微生物の働きだけで土を豊かにすることを目指している。
有機肥料すら使わないことの何が良いかと言うと、
- 肥料を施さないため、コストが低く済む。
- 肥料過多による土壌のバランス崩壊が起きにくい。
- 畑に住む多様な菌や生き物の力を活かすので、自然循環型の農法としてより環境負荷が少ない。
- 微生物が多い土では、病害菌の抑制力も高まる。
要するに、「人間ができるだけ余計なことをしない(余計なものを土に入れない)ことによって借りれる自然の力がある」ということ。



菌ちゃんが働いてくれるおかげで、コストをかけずに強くて美味しい野菜が作れるんだよ♪
☆菌ちゃん農法について『菌ちゃん農法で野菜が育つ理由を解説!』でさらに詳しく紹介しています☆
とはいえ「そんなお得な農法あんの?」って訝しんじゃうじゃないですか。
というわけで、実践してみました。
菌ちゃん農法、実践!
どんなに「アヤシイ…」と思う農法でも、自分でやって確かめてみないことには否定する権利もなし。
ということで、実践してみました!
畝立て
こちらが私の菌ちゃん畝です。
ポイントは、一般的な畝よりも高くすること。
推奨は45cmです。
本当は幅も100cmぐらいが推奨されています。
ですが私は残り物のマルチを使いきりたかったので、推奨の半分ぐらいの畝幅で立てました。


また、菌ちゃん農法は肥料は入れないのですが、代わりに入れるものがあります。
- 刈草
- 枯れ葉
- 木の枝
- 丸太
などなど、自然に落ちてる有機物です。
手に入るなら、もみ殻やおがくずでもOK。



作業中の写真がなかったので、今年撮影しなおします
菌ちゃん畝は、仕込んでから2〜3ヶ月ぐらい放置します。
理由は、菌ちゃん達が畝の中で増えてくれるのを待つ必要があるから。
しかも畝を立てて初めての栽培は、2〜3ヶ月ぐらいじゃまだまだ菌ちゃんの量が少ないので、あまりうまく行かない場合も多いのだそう。
これが大量&安定生産が求められる慣行農法に向かない理由の1つ。



お金を生まない期間が長い事は商売の敵だからね
私が初めての菌ちゃん畝を立てたのが6月下旬だったので、残念ながら夏野菜には間に合わず😭
ということで、秋冬野菜を育てようと、9月中旬ごろに種まきをしました。


- 大根は「おでん大根 味作り」と「あまうま冬自慢」(種)
- キャベツは「シャリオ」(苗購入)
- 白菜は「CRキングダム」&「黄ごころ」(苗購入)
- すずなりブロッコリー(苗購入)(植え付け10月)
キャベツと白菜は、ホームセンターで購入した苗を4株ずつ植えました。



去年は苗作りする余裕もなかったから買っちゃった
大根は、自分の庭の家庭菜園で何度も作っていて、虫が寄って来やすい野菜であることを経験済み。
キャベツと白菜は、何度もチャレンジして、失敗も経験している野菜です。



うまく結球させることも、大きく育てることも難しい野菜だよ
ブロッコリーは1ヶ月ほど遅れて10月頭に植え付けました(たまたまホームセンターで売れ残ってたのを見つけた)。
さてはて、どうなるやら…!?
生育途中の様子
播種から約1ヶ月半、少々生育が遅い気はしましたが、大根たちはちゃんと発芽&成長中。
暑い夏だった割には、虫はついていないです!
ネキリムシもいなさそう。


苗から育てているキャベツは、ところどころ虫食いがありますね。


白菜も、チラホラと食べられています。


ブロッコリーはもっと食べられてますね。
植え付けが遅かったから、この苗たちの中では一番弱いかも?


ちなみに犯人はアオムシちゃんです。
とはいえ全員が虫がつきやすいアブラナ科の植物なのに、この程度で済んでるのが驚きです!



去年この畑で大根を有機栽培した時もっとヒドい目に遭った経験があるから、このすごさが身にしみて分かる!
10月下旬、紅葉が始まってきた時期。
周辺の雑草も育ってますが、お野菜もちゃんと育ってます!


大根たち、成長の個体差が出てきました。
きっと畝の中でも、菌ちゃんの量が多いところと少ないところで、ムラが大きいのだと思います。


こちらのキャベツは、キレイだし結球も始まっています!
これは驚きーーー!


ハクサイのほうが、虫食いの量はありましたが、キャベツよりも外側の葉っぱの数も多くワシャワシャ広がるタイプなので、食べられやすい特徴があるのかもしれませんね。
だとしても、これくらいなら全然、生育を阻害するほどではありません!


ブロッコリーもジリジリと育ってはいますが、食べられてしまった分が成長に響いてるのか、植え付け時期が遅かったせいなのか、ちょっと黄色信号です。


ちなみに、よ〜く見るとアオムシさんが付いてるのが見えますよ。



この後アオムシさんにはお引越ししてもらいました
菌ちゃん畝で収穫祭!
11月中旬、隣で育てているムクナ豆たちの収穫が始まるかどうか、という頃合い。
菌ちゃん畝の方も収穫タイミングを迎えました!
11月中旬
秋晴れの、青い空が眩しいですね♪


まずは大根さん。


家庭菜園で育てていた大根よりも葉っぱが少なくて短いし、マルチから飛び出ている青首の部分が細めで頼りない感じがしたのですが。
引っこ抜いてみると、真ん中あたりからいい感じの太さになってました!


きっと途中から菌ちゃんパワーが増えてきて、大きく育ったんでしょうね。
肥料によって窒素過多になってないから葉っぱが茂りすぎないもかも。
ただ、一部えぐられてました。


これは虫というよりも、小動物かなにかに齧られたようにも見えるが…



真相は不明
かじられた部分だけを取り除いて、普通に食べました♪
12月上旬
12月上旬、そろそろキャベツもいいんじゃない!?ということで、収穫しました。


いい感じに大きくなったキャベツですが、外側は結構食べられちゃってますね。


一番大きく育ったキャベツを1つ収穫しました。
あまりに大きくて、収穫カゴがキャベツ1株でいっぱいになっちゃいました😅





ちなみに虫食いは外側だけなので食べる部分は全然問題ないよ
何かに齧られたような菌ちゃん大根第一号でしたが、第二号を収穫してみると、


こちらは無傷でした!
やっぱり葉っぱの部分は少ないし短いけど、大根の大きさは申し分なし♪


ちなみに味は全部ちゃんと美味しいです!
庭の家庭菜園でも有機栽培でずっと育ててるので、それに比べると「飛び上がるほど美味しい!」ということはないです。
ただキャベツだけは、芯まで本当に甘くて、思わず「あまーーーい!」と声が出るほどでした!!



キャベツが味の違いが一番わかりやすかった♪
12月中旬
12月中旬、初雪。


この時はほんの少し積もっただけで、すぐに溶けてしまったのですが。
畑の様子を見てみると、


雪にあたって凍った大根の葉はシワシワになってました。
大根そのものは全然問題なかったですけど。


キャベツもしもやけしたみたいになってますが、特に問題はなさそう。


ハクサイは虫食いが一番目立ちます。
これは正直「思ったより食べられたなー」って感じです。


とはいえ食べられるのは基本的に外側の葉っぱだけなので、何枚か剥けば問題ないんですけどね。
外側の葉っぱを除けると、いかにもスーパーで売られてそうなハクサイさんに大変身!


ブロッコリーは、花蕾(食べる部分)が出来る前に冬が来てしまったので、もう無理そうですね。
株自体は結構いい感じに育ってきたので、植え付け時期が遅すぎただけかも。


来年はもっと早めに植え付けましょう。
初めての菌ちゃん農法まとめ
初めての菌ちゃん農法でしたが、「これは行ける気がする!」という手応えを感じました。



ムクナ豆栽培より手応えを感じてるよ
ということで、今年は菌ちゃん畝を頑張って増やします!
菌ちゃん畝は一度立てるとずーっと使えるので、大変なのは最初の畝立てだけ。



基本1人農業なのでこぢんまりやっていきたい私にはベスト農法だよ
ただし、45cmの高畝にしなきゃいけないので、うちの小型耕運機では出来ないし、完全手動。
スコップで土を掘っては上げて、掘っては上げて、という肉体労働。
これは夏が来る前にやりきらないと、熱中症でシぬ…!!



遅くとも6月中に終わらせたい!
とはいえムクナ豆栽培がメインなので、そちらの作業を優先しつつ、菌ちゃん畝の仕込みをすることになります。
同時並行で畝で使う落ち葉や枝などの自然有機物もかき集めて畑に運ぶ必要あり。
大変なことだらけだけど、野菜自給率100%と余剰の販売を目指して、今年も農業がんばるぞー💪✨️
よかったら引き続き、見守っていただけると嬉しいです☺️


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